俺を狩れ
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お題
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◯◯◯、お前のダンス最高だった
順位得点作品
1198
[No.0] 4点23 3点22 2点20 おおちゃん@ジャン鶴さんの作品
もちろん弁償はしてもらうけど、お前のダンス最高だった
2163
[No.1] 4点14 3点17 2点28 すでにショーンさんの作品
双眼鏡を手に、病院の屋上に立つ。とても立派な趣味とは言えないが、病に侵された俺にとっては唯一の楽しみだった。 眼下に広がる街、無数に立ち並ぶ家々。その中の、一つの枠に焦点を当てていく。双眼鏡を覗き込むと、暖炉の前で、老婆が猫を撫でていた。ビールの空き缶が散らかった部屋で、サラリーマンが寝ていた。街のはずれの少し立派な家では、眼鏡をかけた男が書斎でペンを走らせていた。テーブルを囲む家族、一人ギターを弾く少年、愛し合うカップル、建物の窓には人間のドラマが映る。……数年後、ついに医師は俺にタイムリミットを告げた。日に日に弱る身体は、もう言うことを聞かなくなっていた。双眼鏡も、もう久しく持っていなかった。ある日、突然夜中に目覚めた。仲のいい看護師を呼び出し、どうしてもと懇願した。看護師は、俺を車椅子に乗せ、夜の屋上へ連れ出してくれた。これが最後だと思った。ぼんやりとする頭に鞭を打つ。しかし、考えるまでもなく身体が覚えていた。彼とは、小学校からの仲で、今は市役所に勤めていることを私は知っていた。彼の家の方角を向き、双眼鏡を覗き込んだ。最後に、その姿を一目見ておきたかった。幸いにも窓からは明かりが漏れていた。がっしりとした男が、ジェラピケを着て全身鏡の前に立っていた。かなり思っていたのと違った。彼はそのまま、棚の上にあるラジカセのボタンを押した。全身鏡に映る自分の姿を見ながら、アメリカの女のように、ひたすら尻を振っていた。振動でテーブルに置かれた飲み物が溢れていく。それでも彼は尻を降るのをやめなかった。ああ、これが最後かと頭を抱える。とんでもない人生だった、この世と自分を結んでいた系が一気に切れていく感覚がした。遠ざかる意識の中、看護師が自分の名前を呼んでいるのがわかる。納得がいかないけど、まあ、お前のダンス最高だった
【りと度】さん
面白かったです
【じゃん】さん
最高だった
【guniguni】さん
泣いた
投票して頂いた方
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81名